2015年11月17日火曜日

【ネタバレ】鮎川まどかだった最上槙、檜山ひかるになれなかった水上葵 - OPEN SESAME

これは単なる主観の話。感想。批評や批判でもない。

マンガ図書館Zで『OPEN SESAME』を読んだ。 自分が読んだ中で一番近いタイプの漫画は『きまぐれオレンジ☆ロード』だったのだろうか、ずっとメインのキャラクターを対比していた気がする。

で、タイトルにも書いたとおり、最初から最後まで最上槙と鮎川まどかはダブっていた。同じくらい魅力的なヒロインだった。また、主人公の壇上大和も、春日恭介と違って超能力はないものの、ボクシングで地域トップクラスの実力があり、見劣りしないだけのパワーを持っていた。

しかし、恭介をまどかと取り合うことになる、檜山ひかるは『OPEN SESAME』にはいない。いや、幼なじみで元から好意を持っている水上葵というキャラクターはいる。いるのだが、彼女は檜山ひかるにはなれなかった。

もちろん、大和が東京に出て葵が地元に残るという筋書きの上では、彼女がレギュラーになれないのも無理はない。当然、恋愛でも不利なのは当たり前、フェードアウトしていくのはむしろ自然ではある。が、物語でしかもジュブナイルであるならば、せめてきちんとした形で決着を付けさせてあげられなかったかなあ、とかわいそうになったりする。

というお話。おしまい。

しかし、『OPEN SESAME』を読んで『きまぐれオレンジ☆ロード』に思いを馳せる2015年。 技術の進歩によって自分は過去に誘われていくんだなあ、と独り感慨にふけるのである。

2015年11月11日水曜日

Rumor

私が住んでいた隣の町に、学校が一つあった。生徒はヤンチャなタイプがメインで、多少はいるであろう大人しい子も雰囲気に引き摺られてか、学校全体がお祭り騒ぎになることも少なくなかった。しかし、ここ最近は時々キレたヤツがポツポツ暴れるくらいで、基本的には以前ほどやかましいこともなくなったようだ。

年相応、というにはちょっと憚られるくらい元気な学校の生徒達だが、彼らについてはちょっとした都市伝説があった。

あそこの生徒は全員双子である、という。

こんな怪談めいた話が広まるには相応の理由があった。というのは、彼らが集まる受験の際、合格する子は皆生真面目で、虫も殺さぬような感じだ、というのだ。(その一方で、不合格になる子は一様に暴走し手が付けられないとも聞いているが。)

いくらなんでも、試験日の雰囲気と普段の学校生活における態度が違いすぎる。そんなわけで、一卵性双生児のうちのもう一人が、入学者の代わりに試験を受けている、という話がどこからともなく湧いてきたようだ。

しかしまあ、全員が全員双子で、皆が皆替え玉受験なんてことはあるのだろうか?当然、学校の先生たちはそれが真実であろうとなかろうと、知っていようといまいと、おそらく一笑に付すに違いない。実際私がそこに勤める知人に、興味本位で話を聞きいたときは、けんもほろろに突き放された。

ところが、だ。たまたま、長年いらっしゃる用務員の方から伺ったと言う人の話では、どうも受験のときと入学のときで顔が違うような気がするということだった。パッと見でそっくりの双子でも、一緒にすごしているとやはり違いが見えてくる。全員からその小さな違和感をぶつけられれば、そういう気がしてもおかしくはないだろう。

また、別の方が目にしたらしいのだが、ある親御さんは、生徒の遺影(?)を持っているということだった。はっきりと見たわけではないと言いながらも、やはり用務員の方同様、今通っている生徒とはちょっと違っていたような気がするとの話であった。これが受験した双子の片割れのものであるならば、話にも筋が通ってくる。余りに突飛で、強引な感じもするのだが。しかし似たような話を一人二人でなく、五人十人から聞いたとなれば、俄然真実味を帯びてくる。

しかも、この奇妙な話が有名になりすぎたせいか、学校が名うての調査員を雇い、実態の究明に乗り出したという。こうなってくるともはや冗談ではすまされない。それも実は、学校側が事実を把握した上での裏付けではないかと思わざるを得ない。というのも、この学校は近々、卒業を待たずして全員を退学処分にすると小耳に挟んだからだ。

どうにも気味の悪い噂が消えない学校を閉鎖してしまうためなのか、あるいは少々やり過ぎだと揶揄されようともドラスティックに改革して学校を建て直すためなのか。そこまではまだ、私には伝わってこないのだが。

※このエントリはフィクションです。